善子「曜とヨハネの二人暮らし」

曜「朝のランニングの時、起こしてほしい？」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

善子「口にモノいれたまんま喋らないで」

曜「よーそろ」ｺﾞｯｸﾝ

曜「なんでまた藪から棒に？」ｷｮﾄﾝ

善子「……」

善子「ちょっと、最近運動不足かなぁって」

曜「……そうかな？」ﾌﾟﾆ

善子「あひゃっ！？」

曜「善子ちゃんそんなに太ってないと思うけど……」

善子「わき腹を摘まむの止めてくれるかしら……」

曜「むしろ綺麗になってる……」ｻﾜｻﾜ

善子「ばか」ﾍﾟﾁ

曜「あははは、嘘じゃないよ！」

曜「ん、でもわかった。休日の朝のランニングの時、善子ちゃんも起こすよ」

善子「お願い、曜さん」

曜「任せて！　叩き起こすから！」ｸﾞｯ

善子「出来れば穏便にお願いします……」

テレビ「邪魔するでー！」

テレビ「邪魔するなら帰ってー」

曜「あはははは！　邪魔するなら帰って〜！　あははははは！」ｹﾗｹﾗ

善子（よく同じネタで何度も笑えるわね……）ﾎﾞｹｰ

曜「あははははは！　あっ熊だ熊！　死んだふり！」ｹﾀｹﾀ

善子（……別に、太ったとか、健康志向とか、そういうのじゃない）ﾎﾞｰ

善子（堕天使は太らないし、夜中にニコ動見ながらポテチ食べても太らないし）ﾌﾟﾆ

善子（堕天使は健康に気を使わないし、そもそも曜さんと暮らし始めてからは、食生活とか生活リズムが劇的によくなったし）

善子（配信しても肌がきれいになったとか言われるし）ｴｯﾍﾝ

善子（……色っぽくなったとかも、言われるし……）ｶｧｧ

曜「あはははっはははは！　おなかいたーい！！」ｹﾗｹﾗ

善子（たぶんこの人のせいよね）ｼﾞｰ

善子（皆が寝る時間に寝て、皆が起きだす時間に私も起きる）

善子（堕天使としては月照と共に目覚めるべきなのかもしれないけれど）

善子（曜さんが寝ていたら、それは、さみしいし）

善子（そうやって曜さんと同じように目覚めて、曜さんと同じように寝る）

善子（私にとって、その事実は当たり前の、それこそ息を吸って吐くのと同じくらい、当たり前のことになった）

善子（けれど、休みの日、ふと目が覚めると曜さんがいなくなっていることがある）

善子（朝、鳥の囀り、暖かな日差し、穏やかな風。それらはすべて、曜さんと一緒に迎えられて、初めて綺麗と思えるようになった）

善子（けれど、朝目が覚めて曜さんがいないと気付いた時、酷い喪失感に襲われる）

善子（ランニングにいってるだけで、朝の弱い私を気遣って、目覚まし時計もかけずに自力で起きて走りに行っているだけだとわかるのに）

善子（いつも心のどこかで、愛想をつかされてしまったのでは、と恐怖することがある）

善子（……だから、決めた）

善子（堕天使は早起きする。幸運であることを手放しても、曜さんのぬくもりは手放したくない）

曜「ねえ、善子さん？」ｸﾙｯ

善子「なに？」

曜「さっきから背中にあっつい視線を感じるのは気のせい？」

善子「……自意識過剰なんじゃない？」

曜「そうかも？」

善子「そうなのよ」

善子（テレビの中の登場人物は、揃い揃ってずっこけていた。同じネタ、天丼、いつもの流れ）

曜（ほわぁ。よく寝た）

曜（時間は――五時！　うん、体内時計もきっかりだ！　元気全開DAY！　DAY！　DAY！）

曜（あーたーらしいあさがきたー♪）ｶﾞｻｺﾞｿ

曜（きぼうのあさー♪）ｽﾙｽﾙ

曜「あっ」ﾊｯ

曜（善子ちゃん起こさなきゃ）ｻｻｻ

曜「よしこちゃ――」ｿｰｯ

善子「――――」ｽｰｽｰ

曜（……喜子ちゃんの寝顔はいつもきれいだなぁ。色白だし、まつ毛ながいし、髪の毛は真っすぐでさらさら）ｻﾜｻﾜ

曜（人を虜にしてるってことは、やっぱり堕天使なのかな、喜子ちゃんって）

曜（――にしても、善子ちゃんは起こしてって言ったけど、朝の五時に叩き起こすのは気が引けるなぁ）

曜（善子ちゃんはテイケツアツだし、寝ぼけた状態でランニングってのも危ないし）

曜（ん――ごめん、善子ちゃん。今日も――曜は善子ちゃんを起こせませんでした）

曜「――ん」ﾁｭ

曜（堕天使パワー充電！　渡辺曜はランニングに行ってきます！　全速前進ヨーソロー！）ｶﾞﾁｬ　ﾊﾞﾀﾝ

善子「――」ｽｰｽｰ

善子「……」ﾑｯｯｯｽｰ

曜「ごめんて！　善子ちゃんほんっとごめん！　忘れてたんだってば！」

善子「……」ﾑﾑﾑﾑﾑﾑｯｽｰ

曜「そんな怒らないで！　いつも起こしてなかったから、つい癖で、ほら、ね？」

善子「……」ﾑｩｯｽｩｰ

曜「ほら、ホットケーキだぞぉ〜ぶーん！」

曜「隊長！　攻撃目標を確認しました！　堕天使ヨハネのお口です！　ぶぅーん！」

善子「……」ｼﾞﾛｰｯ

曜「隊長、対象はこちらを警戒しています！」

曜「よし、攻撃だ！　ホットケーキミサイル発射用意！」

曜「シロップ確認！　バター確認！　よーそろぉおおお！」

善子「曜さん」

曜「はい」

曜「我儘なんて――」

善子「低血圧で朝目が覚めてからも起きるまで時間かかるから、ランニング行くまで時間かかっちゃうのも、我儘だって思う」

曜「そんなこと――」

善子「それでもやっぱり、起こしてほしいの……」ｳﾂﾑｷ

善子（今朝は、最悪の目覚めだった。昨日寝る前は、曜さんが朝起きたらいない、という事なんかこれっぽっちも考えてなかった）

善子（いつもは『朝起きたら曜さんがいない』という事実を心に刻み込んで予防線を張っておく）

善子（今回はそんなことしてなかったから、いつも以上に、曜さんのぬくもりがある『当たり前』のことが『当たり前』じゃなかったという事実が深く突き刺さった）

善子（不安で不安でしょうがなくて、当たり前のことが当たり前じゃなくて、それが怖くて、それでもどうしようもなくて、ずっと、曜さんの残した、微かな暖かさを――）

善子（ハッ！　何やってんの私！？　朝からあんなことしてたの！？　うわぁああああ！！　何やってんのヨハネ！　バカなの！？）

曜「うん――わかった。次は、絶対起こすよ」

善子「ごめんなさい、お願い、曜さん」

曜（……喜子ちゃん、そこまでしてでもランニング行きたいのかなぁ？）ﾓｸﾞﾓｸﾞ

曜「明日はランニングだから夜はお休みだよ」

善子「ちょっと赤裸々に何言ってんの！？」

曜「いやぁ善子ちゃん時々私が寝坊するくらい凄いことしてくるし」

善子「シラフの時にそんなこと言わないでよ！！　っていうかそんなすごいの私！」

曜「うん、もう堕天・ザ・ハンド、みたいな」

善子「変な必殺技つけないでよ！」

曜「そんな訳で今日は早く寝よっか、抑えの効かない善子ちゃん」ﾆｯｺﾘ

善子「私の名前の前にそんな単語つけないで！」

善子（……夜、私が激しいのは、自分も自覚してる。だって、曜さんにはそうしないと、なんだかどこかに行っちゃいそうだし……）

善子（潜在的に、もしかしたら私はこの毎日に対して不安と恐怖におびえているのかもしれない……）

善子（曜さんはあけっぴろげに私に接しているのに、私は曜さんのこと、信じ切れていないのかも、しれない）

善子（曜さんのこと、だいすき、なのに）

曜「ほーら、善子ちゃーん！　曜の隣においで〜！」ﾎﾟｽﾎﾟｽ

善子（……でも、明日はきっと起きて一緒に朝を迎えられる、わよね）

ちゅん　ちゅん

善子（――はっ！！）ﾊﾟｯﾁｨｨｲｨｨｨｨｨ

善子（醒めたッ！　醒めたわ津島善子！　完全なる起床！　完璧な覚醒！　堕天使の日よ！　サヨナラ低血圧！　たぶんたまたまだと思うけど）

善子（……時間は……五時前。曜さんはいつランニングに行ってるのかしら？　もう起こした方がいい？　曜さんが起きるまで待つ？）

善子（うーん……）ﾌﾞﾙｯ

善子（曜さんには悪いけど、一度起きておトイレ……）

ｺﾞｿｯ

善子「っ！！」ｶﾞﾊﾞｯ

曜「ふぁ……よく寝た……」

善子（起きた！　曜さん起きた！　でもなぜか私は寝たふりしてる！　というか曜さんに甘く起こされたい！　というか起こしてもらう！　堕天しよう！）

曜「……善子ちゃん、起こさなきゃ……」

善子「――」ｽｩｰｯｽｩｰｯ

善子（寝息って意識してやると難しい！　寝たふりってばれたら恥ずかしい！）

曜「やっぱり寝てるよね、善子ちゃん」

善子（隠し通せたぁああああああ！！）

曜「ほら、善子ちゃん起きて―」ｿｯ

善子（待て、待つのよ善子！　一発で目覚めたら曜さんに寝たふりしてたってばれる！　ちょっと粘って目覚めの悪い善子を演じるのよ！）

曜「まあ、一度じゃ起きないよね。ほら、おきてー善子ちゃーん」ﾕｯｻﾕｯｻ

善子（うん、もうちょい――もうちょいだけ粘る――曜さんの甘い声が、優し過ぎて、とろけそう――）

曜「やっぱり起きないか。でも、起こさないと善子ちゃん不安がるだろうし……うーん……」

善子（よし――次。次のアタックで目覚めるのよ善子！　寝坊助を装って――）

善子「――」ｽｩｰｯｽｩｰｯ

善子（あ、れ？　甘い声……聞こえない……もしかして、もしかして曜さん、まさか――）

善子（薄目、薄目だけ開けて、一瞬確認しよう）ｿｰｯ

善子（ッ！？）

薄目を開けるとそこは、目を閉じた曜さんの綺麗でかわいい顔が広がっていました、天国でしょうか。

私が何か言う前に、曜さんの唇はもう私の唇に触れていて、曜さんのぬくもりとか、優しさとか、そういうのが全部流れ込んできました。

優しくて、心がとろけそうになるほど、甘くて永遠のような一瞬。

甘いホットケーキの味。甘いシロップの味。そんなもの、比べ物になんて、ならない。曜さんのキスの甘さは、そんなもの歯牙にもかけない。

曜さんの私の肩に触れている手とか、私の太ももの間にある膝とか、髪を優しく梳かしてくれている指とか、全部が、私の欲しがっていたもので。

いつも私からキスしたり、触ったり、触れたり、求めていたけれど。

いま、曜さんからされているキスで私が感じている感情は、きっと私がして曜さんに与えている感情より、何億倍も、幸せなはず。

きっとおかしな日本語だと思うけど。それでも、そうとしか思えない。

私が今まで手放してきた幸せは、手放してきたんじゃなくて、神様に預けて来たんだと思う。

私が今まで生きてきて経験できるはずだった分の幸せを、今ここで、神様は全部、一度に、私にくれたんだと思う。

心のとろけるような。体がどこかに沈み込んでいくような。曜さんに、どうしようもなく、好きだって。

目を閉じて、この幸せをずっと感じていたい。

ねえ神様、今日くらいは天使になっても構わないと思わない？

善子（曜さんのぬくもりが離れるけれど、私の心は、甘い感情で満たされていて、この世すべての幸せを積み重ねた幸せより大きい幸せに揺蕩っていた）

曜「うーん。おはようのキスでも目覚めないかぁ。しょーがない。……怒られるの覚悟で、今日も黙ってランニングに行くしかないよね」

善子（まさか。怒ったりなんてしない。だって曜さんの気持ち、唇から通して伝わってきたもの）

曜「許してね、喜子ちゃん」

善子（たぶんもう、私は曜さんのいない朝が来ても、不安も恐怖も感じないと思う）

善子（この幸せがあれば、私は曜さんを信じていられる）

曜「行ってきます、私の――」

善子（曜さんは私にとって――）

――世界で一番大好きな人。

了

善子（今日は曜さんが飛び込みの練習で家に居ない）

善子（二人で住むには少し狭い家だけど、独りになるととても広く感じる家）

善子（私はもともとインドアだし、友達も多いタイプではないから、大学の友達は片手に収まるくらい）

善子（曜さんはあっちこっちのサークルや仲間に声をかけられているみただけど）

善子（それでもいつも飛び込みの練習に打ち込んでいる）

善子（お誘いを断ってばかりだと、『ノリの悪いやつ』なんてレッテルを張られてしまうような気がするのだけれど）

善子（曜さんはそこら辺も持ち前のリア充パワーとコミュ力で上手く付き合っているとかなんとか）

善子（さて。では友達は少ない私は、曜さんがいないこういう日は何して過ごしているのか）

善子（それは、高校生の頃から続けている趣味に没頭することにしている）

善子「んっと」ｶﾁｬｶﾁｬ

善子（PC、カメラ、マイク、照明器具、その他諸々準備よし）

善子（のど飴舐めたし、水分もバッチリ）

善子（――ククク……始まる――暗黒の会合、ミサの始まりよっ！）ｷﾞﾗﾝ

善子（えいっ！）ﾎﾟﾁ

ヨハネ様キター　よっしゃヨハネやんけ！　ミサの始まりだわ　ヨハネ様俺と付き合ってくれー

　闇の魔力をPCから感じるぜ……　僕もリトルデーモンにぶひぃいいいいい　ヨハネ様マジ美少女堕天使

Aqoursの活動もうやらないのー？　歌うたってー！　ユメユメ歌ってくれー！　おっぱいヨハネー！！

ヨハネ「今日も皆さん、健やかな一日を過ごしているようね――」

ヨハネ（嗚呼。この瞬間。この瞬間、私が知る、曜さんと過ごす以外の、有意義な、休日の過ごし方――！！）

ヨハネ（堕天使ヨハネ、今日も闇の世界に生きるっ！！）

ヨハネ「ギランッ！」

ヨハギラktkr　ヨハネ様！俺だ！結婚してくれ！　あぁ^〜魔力がビンビンするんじゃぁ〜　ヨハネちゃんなんかエロくなった？

　もう拙者辛抱多摩ランでござるｗｗｗｗｗｗ　えっろ　ヨハネ様まじエッロ　ヨハネ様ー　ヨハネちゃんすきぃ

ぎらんっすき　ヨハネさますき　仕事きらい

ヨハネ「そろそろ今日のミサは終わりのようですね――」

ヨハネ「今宵も闇が始まる――堕天使ヨハネは闇に還り、夜の世界を生き抜くわ――」

ヨハネ「フッ！」

ｼｭﾎﾞｯ

――配信が終了しました。

ヨハネ「……ふぅ」

善子「楽しい……やっぱりこれ、たまんない」ｿﾞｸｿﾞｸ

善子「確実に来場者数もコメント数も増えてるし……私ってやっぱりすごい？」ﾊｯﾊｰ

善子「まあネットでしか受けないけど……あ、今日は私が晩御飯当番だ！　準備しなきゃ！」

善子「ハンバーグ、ハンバーグ作らなきゃ！　曜さんきっと練習で疲れてるだろうし、ご飯とかちょっと多めに作ったほうがいいかな？」

善子「〜♪」

曜「美味しい！　善子ちゃんのご飯は最高！」ﾓｯｸﾞﾓｯｸﾞ

善子「曜さん」

曜「ああっ」ｺﾞｸﾝ

曜「ごめんごめん。つい美味しいと――気持ちを伝えたくなっちゃうわけでしてー」ﾃﾍﾍﾟﾛｰ

善子「今日の練習、どうだった？　上手くできた？」

曜「善子ちゃんと一緒に毎日寝てるから絶好調であります！」ﾋﾞｼｨ!

善子「……曜さん、それほかの人に言っちゃ嫌だからね？」

曜「言わないよー。善子ちゃんと一緒だから、だよ！」

善子（流石に付き合いも長いと曜さんの性格も掴めてくる。だから赤面必死の単語を聞いても、私は動揺しなくなった）

曜「……？」

善子「……どうしたの曜さん。私の顔をじっと見て」

曜「顔、真っ赤だよ？」

善子（訂正。堕天使は不意打ちが苦手だ）

曜「――」ｽｩ　ｽｩ

善子（……今日は特に寝坊したから、目が冴えてる……）

曜「うぅん……よーしこ―」ﾑﾆｬﾑﾆｬ

善子「……ヨハネよ」ﾎﾞｿｯ

善子（あーあ、眠れないなぁ。羊でも数える？　それとも堕天使？　うーん……）

善子（そういえば……夜配信って同棲始めてからやったことないかも）

善子（配信観てくれてる人の中には夜しか見れない人もいたっけ）

善子（……折角だし。ちょっとやってみようかな）ﾑｸｯ

ヨハネ（夜――も結構遅いけど、みんな見に来てくれるかな？）

ヨハネ（ん……おおっ！　むしろ昼間より夜の方が多い！？）

ヨハネ（堕天使の時間！　夜っ！　暗黒っ！　暗闇！　救済の時間なのですぅううう！！）

曜「――んぁにゃ？」ﾊﾟﾁ

曜（……変に目が覚めた。まだ今日――だし。なんでだろ――ああそっか、善子ちゃんがいないんだ）

曜（おりょ？　善子ちゃんがいない？　どこいったんだろ？）

曜（久々に夜ふかししてるのかな？）ｶﾞﾊﾞｯ

曜（どうせ私も明日はオフだし善子ちゃんと夜更かしも悪くないかな？）

曜「善子ちゃーん」ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ

――善子ちゃーん

ヨハネ「え？」

ざわ　今の声誰？　なんか声聞こえる　ヨハネ様マイクの調子悪い？　なんか声聞こえる　啓示じゃないっすかね

　なんかよしこちゃんって聞こえた　空耳乙　リトルデーモンじゃね　ヘッドンホホ買い換えなきゃ……

ヨハネ（えっ？　えっ？　なんで？　曜さんってちょっとやそっとじゃ起きないのに？　嘘？）ｻｰｯ

善子（やっば……どうしよ。えっどうしよ）

――善子ちゃんそっちにいるの？

やっぱりなんか聞こえる　この声聞いたことあるかも　ヨハネ様のリトルデーモンや！

　Aqoursのメンバーの誰かだったら神回確定　ルビィちゃん来るんじゃね？　いや花マルちゃんだろう

善子「あっちょ、ちょっとま――」ｸﾞﾗ

善子「あ、やば――」

善子（PCケーブル……足に引っかかって――）

ドタンッ！　バタン！

ちょｗｗｗｗ　ヨハネ様しっかり！　アカン奴やこれ　ヨハネ様ー！　ヨハネ様大丈夫！？　音やばかった

　なんで転ぶんだよｗｗｗｗ　カリスマブレイク！だがそれがいいッ！　パンツ！パンツは移りましたか！？　映らねーよ禿

　
ガララッ！

曜「よ、善子ちゃん！？」

恋　に　な　り　た　い　A　Q　U　A　R　I　U　M　　　う　ち　っ　ち　ー　の　中　の　人　

曜「……なに、これ？」ｷｮﾄﾝ

　曜ちゃんだぁああああああああああああああああああああああ　は？くそかわなんですけど？　やば曜ちゃんやんけ

神回や……明日仕事だけどこれで頑張れるわ……　曜ちゃんとかやばない？　これはすごい　夜空は何でも知ってるの踊って！

善子「あぁ……ああああ……」

善子（顔をあげた私の視界には、大きな目をもっと丸く広げる曜さんと）

善子（赤文字で大きく光るコメントと、右から左に流れる『ようよし』という単語）

善子（そして、凄まじい速さで増える広告と、ランキング、来場者数、コメント数）

善子（ああ……ああああ……やってしまった――）

善子（この前幸せを神様に返してもらったけれど、また私は幸せを神様に渡しているようです……）

曜「えっと……アーメン？」

善子「うう……」ﾁｰﾝ

ヨハネ「ギランッ」

ヨハネ様キター！　ヨハギラー！　おはヨハネー！

善子（その後も私は配信は続けている。あの日の三十分は文字通り伝説となり、えがお動画には一瞬でミリオンを達成、ダブルミリオンも近い動画となってアップされている）

ヨハネ「今日も暗黒のミサを――」

ガラッ

曜「善子ちゃん、今日はご飯何にする？」ﾋｮｺ

善子「お”あ”っ”！？」

嫁　嫁キター　ようよしや！　嫁登場！　外ではヨハネ、家では善子　外ヨハ家善子
　
　曜ちゃん可愛いいいい　ご飯聞いてくる曜ちゃんマジ天使　堕天使と天使の逢引きやん！

善子「曜さん！　開けるときはノックしてって！」

曜「あ、配信やってたんだ！　みんなーおはヨーソロー！」ﾋﾞｼｯ

おはヨーソロー！　曜ちゃんやばい可愛い　大天使ヨウエル　キマシタワー！　おはよしこー！

　あぁああっいい……　尊い　大変厳しい評価ですが最の高ですね　ようよし回キター　開けるときノックとか善子ちゃん男子中学生か何か？

曜「それでさ、今日のご飯は何にする？」

善子「もう、好きにして……」

善子（それきり、曜さんが出てくるといつもこういう流れになって、私もヨハネではなく善子として、配信することになってしまう）

善子「……」

　善子ちゃんと曜ちゃんが幸せそうでなによりです　善子ちゃん曜ちゃんお幸せに！　二人ともお似合いだよー！

ようよし尊いな？　←わかる　←わかる　尊い……　よかったね善子ちゃん！すっごい幸せそう！

善子（でもまあ、確かに幸せを感じられるし、悪くない、かな？）

曜「善子ちゃん、ご飯はどうする？　よ、し、こ、ちゃん？」ﾆｺｯ

曜ちゃんのフリきたー！　このフリ何回見ても笑う　い　つ　も　の

　曜ちゃん結構ボケのフリが上手くて草　草　曜ちゃんｗｗｗ

善子「だぁから！　ヨハネよ！！！」

――配信が終了しました。

了