海未「…穂乃果に誤爆してしまいました」

※おかしい海未ちゃんと地文注意

ー海未部屋ー

海未「…マズいですね」

私は部屋の中ぽつりと呟き、改めて事の重大さを確認します。普段の練習では絶対に出る事のない汗が頬を伝っていくのを感じて、自分でも冷や汗をかいてる事に驚きました。

海未「どうしてこんな事に…」

たしかに今日の練習は中々ハードでした。ストレッチ後のランニングで花陽とことりがダウン、柔軟で真姫とにこが根を上げ、そしてダンス練習で希のたゆんたゆんを見た凛と私が落ち込んだ…精神的にもかなりキツかったです。

ですが…でも…もはや自分への言い訳しか見つからない事に少しイラつきを感じ、再び状況を確認する為にスマホのLINE画面に目を落としました…

穂乃果：じゃあねー海未ちゃーん

海未：はい。また明日、おやすみなさい

海未：穂乃果の布団で寝ると1つになれるような気がします。というか1つになりたいです

海未「最低です…どうして誤爆してしまったのでしょう…」ﾄﾞﾖｰﾝ

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終わった…事がどう転ぼうとこれはもうダメな気がします。こんな意味不明なものを穂乃果に送る意図なんて全くありませんでした。

海未「やはり2人同時は無理がありましたか…」

そう落胆して目を瞑り、深呼吸して事の発端を思い出しました。習慣である、寝る前の穂乃果とのLINE中にことりからもLINEが来て、同時進行で進めていたら手違いで起こってしまったのです。

まぁ、穂乃果の布団で寝たい願望はありますがこんな変態行為本人に伝えるわけがありません。すべてことりが悪いのです！…いえ、完全に私が悪いですよね…

ﾋﾟﾛﾘﾝｯ

LINEの通知音に気付き画面を見ると今度は邪悪の権化こと、ことりからでした。

(・8・)：海未ちゃーん？急に既読スルーしないでぇー？

スルーなどしていませんよ…こっちが悩んでるというのに呑気なものです。

こうなったらことりにも相談して見ましょう。

(・8・)：穂乃果ちゃん会議で海未ちゃんが穂乃果ちゃんにしたい事教えてくれないから話ストップしてるよー

海未：ことり、その前に1つ聞いて欲しい話があるのですが…

prrr prrr prrr

私の返事に既読がついた瞬間にことりからの着信。こんな遅くに電話など急用でしょうか。

海未「もしもし？」

ことり『海未ちゃんひどいよぉ！』

海未「な、何の話ですか」

ことり『先に穂乃果ちゃんに告白するなんて！』

ことりは何を言っているのでしょうか。私はただ話があると…まさか

海未「話というのは、私が告白したとかそういうのではありませんよ？」

ことり『え？違うの？』

やはり…ことりはいつもは冷静なのに穂乃果の事になると我を忘れたかのようになってしまいます。必死さは伝わりますが…

海未「ことりは早とちりが過ぎます。LINEの話をしようと思っていたのですよ」

ことり『LINE？』

海未「はい。先ほどことりに『穂乃果の布団で寝ると1つになれるような気がします。というか1つになりたいです』と送ろうとしたのですが…」

ことり『うん。とんでもない事送ろうとしてたんだね』

海未「…間違えて穂乃果に送ってしまいました」

ことり『えぇ！？それってマズいんじゃないの！？』

海未「だからこうして悩んでいるのですよ」

ことり『そっかぁ…穂乃果ちゃんからなんて返事きたの？』

海未「それはまだ確認していません」

ことり『じゃあもしかしたらそれ見る前に寝ちゃってるかもね』

海未「…すいません、少し確認してみます！」ﾋﾟｯ

ことりの言葉でやっと冷静になれました。そうです！まだ私の幼馴染としての人生は終わったとは決まっていません！

もし穂乃果が既読してなければ朝まで猶予が伸び作戦が練れます。今の時間は…0時前。穂乃果はいつもこの時間帯には寝ているはず。早速LINEを開いて…

海未：穂乃果の布団で寝ると1つになれるような気がします。というか1つになりたいです 既読

海未「な…え？嘘でしょう…！」ｱｾｱｾｯ

既読既読既読既読既読既読既読既読既読既読既読既読既読既読既読既読既読

その二文字が頭の中をぐるぐる駆け巡りました。

きどく？キドク？既読とは？たしか、すでに読んでいる事。もう読んである事という意味です。つまり穂乃果は私の変態的LINEを…読んで…ぁあああああああああああああ///！？

ﾋﾟﾛﾘﾝｯ

思わず枕に顔を埋めてゴロゴロ転がっていると再び通知音。まさか穂乃果から…！？ど、どうしましょう…このまま無視した方がいいのでしょうか。しかしこれは弁明のチャンスでは…

意を決してスマホを覗くと…

(・8・)：どうだったー？

海未「なんだ…ことりですか…」ﾎﾟﾁﾎﾟﾁ…

海未：既読されました

(・8・)：(　ﾟдﾟ)

(・8・)：((*ﾟ∀ﾟ))

どうして喜んでいるんですか。こっちは真剣に悩んでいるというのに…

海未：どうしたらいいでしょうか？

(・8・)：誤爆したって謝ったらどうかなー？

海未：許してくれるでしょうか…

(・8・)：別に喧嘩したわけじゃないんだし大丈夫♪

謝る。

たしかに合理的です。しかし謝った後穂乃果にはこういう疑問が湧いてくるはずです。

『海未ちゃんはあんなLINEを誰に送ろうとしたんだろう』

誰に送ったにせよ私は明日から変態ですね。

謝る案はスルーで行きましょう。

海未：謝るのはやめましょう。他に案を出してください

(・8・)：えぇ…あえて認めちゃうってのは？

海未：認めれば私が変態だと思われてしまうじゃないですか

(・8・)：変態だよね

海未：違います。それにそれでは元も子もありませんよ

(・8・)：ならギャグっぽくするのはどうかな？にこちゃんが貧乳って言われた時に、そうそうってぬわぁんでよ！っていう感じに♪

海未：にこの場合はいわゆるノリツッコミですね

ギャグですか…たしかにそれなら切り抜けられるかもしれません。しかし初めてなので出来るかどうか…

海未「練習すればいいのでは…！」

もはや一刻の猶予もありません。穂乃果に変態扱いされない為なら今の私は何だってやりますよ！という事でことりに実験台になってもらいます！

海未：ところでことり、少し話があるのですが

(・8・)：え？急にどうしたの？

海未：ことりの事が好きです

(・8・)：は？

ことりの言う事によればここでギャグっぽくすれば大丈夫との事ですね。まずは冗談ですと打ち込んで、

(・8・)：海未ちゃんちょっとごめん、今からそっち行くから

ん？何を言っているのですかこの娘は…予想だと私が冗談ですと言い、ことりがびっくりしたよーと言って会話が終わるはずでしたが…あれ？

(・8・)：いきなりで驚いたけど…こういうのはちゃんとしたいしから…だから今からお家行くから！

海未：いやいやいや！待って下さい！冗談ですよ！？ギャグですよギャグ！

(・8・)：え？

海未：ことりがギャグで押し切れば大丈夫と言ったじゃないですか！だからここで練習してみたのですよ！

(・8・)：しってたよーもちろーんあははー

これ絶対本気にしてましたね。

海未：やはりギャグ路線もなしです。他の案を下さい

(・8・)：ギャグもダメなんだぁ。じゃあね、ひたすら言い訳しちゃうとか

海未：言い訳ですか

(・8・)：寝ぼけてたとか、スマホがおかしくなったって言えば穂乃果ちゃんも察してくれるんじゃない？

海未：わかりました。まずはやってみます

ことりの言う通り、穂乃果とは10年来の幼馴染なのですから私が慌てふためいて言い訳をすればきっと何かあったに違いないと察して言及しないはずです。

これは穂乃果との信頼を確かめる良い機会ですね。やってみましょう。

海未「…」

とは言ったものの、いざ穂乃果にLINEを送るとなると指先が震えてきました。

もし失敗したら…もしダメだったら…もしすでに穂乃果に変態扱いされていたら…いろんな失敗例が脳裏をよぎり決意を鈍らせました。

ですが…

海未「…だって…可能性感じたんだ…そうだススメ…」

ふふっ…私とした事が忘れていました。穂乃果から学んだはずです。

怖がって足踏みしてないでまずは一歩飛び出せば何とかなると。

だから私も恐れず飛び出しましょう！
そう決意して私は力強く入力していきました。

海未：穂乃果！すいません！

穂乃果：すいませんじゃないよ。さっきの何なの？

あ、これは可能性感じませんね。大変な事になる前にひとまず誤魔化して、

穂乃果：さっきのどうしたの？詳しく教えて？

海未：いやでもそろそろ寝た方が…

穂乃果：大丈夫だから早く。話してくれるまで寝ないから

そうだススメないですね。
なぜか汗が止まりません。暖房強くし過ぎ…てないですね適温です。どうやら冷や汗ですね、あはは。

無理に笑ってみるもののすぐにやってくる虚無。こうなると何もかも無駄と思えてきますね…いやいや待ちなさい園田海未。私はこんな事で慌てふためくほど肝っ玉の小さい女では、

prrr prrr prrr

海未「ひぃぃっ！？」ﾋﾞｸﾝｯ

突然の呼び出し音に思わず悲鳴が…お母様に聞こえてなければいいのですが。

して、相手は…『高坂穂乃果』ですか。えぇわかってましたとも。わかっていましたが出ませんよえぇ。

穂乃果：海未ちゃーん？電話出てよー

海未：すいません、今電車なので

我ながらナイスな切り返し。これなら穂乃果もLINEでの会話を選ぶはずです。

穂乃果：さっきお休みなさいって言ったじゃん。電車で寝る気だったの？

ほほぅ、八方塞がりですね。と言うか先程から自分から道を潰してるような。

穂乃果：電話嫌ならわかったよ。ほら、説明して

文面から少しイラついてるように感じ取れます。これ以上悪化させると本当に関係崩壊に繋がりかねません。ともかくことりにもう1度相談してみましょう。

海未：ことり、緊急事態です。助けて下さい

穂乃果：私、ことりちゃんじゃないよ

海未「何でまた誤爆っ…！？」

ああぁぁああ！と声にならない叫びを上げながら枕に顔を埋めてまたゴロゴロ…少し落ち着き、乱れた衣服を直して再度問題に対峙します。

何をやってもダメ、ことりもダメ、となれば…そうです！他のメンバーに連絡してみましょう！

今の時間帯起きてるのは…そう、1人だけいます！

海未：希、起きてますか？

希は深夜のお笑い番組も結構見ると言ってました。となればこの時間帯には起きているはずです！

返事して下さい希…！あなたが今ここで眠ったら、私と穂乃果のイチャラブ生活はどうなっちゃうんですか？ ライフはまだ残って、

とーじょーさん：どしたん？

返信の早さたるや！さすがです希っ！やはりあなたは起きていると信じていました！

ここ数日の乳揺れによる恨みつらみはなかった事にしましょう！

海未：夜分遅くすいません。大事な話があります。よく聞いて下さい

とーじょーさん：え？急にどうしたん？

海未：もしも絵里に『えりちの谷間ペロペロ舐めたい』と誤爆してしまったとします。どう挽回しますか？

とーじょーさん：いや死ぬしかないやろ

私、死ぬしかないようです。

そうですかーっていやいや、希はいきなりの事にパニックになっているのですね。もう少し聞いてみましょう

海未：死ぬ以外で何か策は考えられますか？

とーじょーさん：いやそんなん気持ち悪い誤爆したら絶交だろうね

海未：気持ち悪いですか？

とーじょーさん：ペロペロはあかんて

海未：じゃあぱふぱふで

とーじょーさん：ちょっと海未ちゃん怖いから今日はもう終わりね。ばいばーい

なぜか無理矢理会話を終わらせられました…ペロペロもぱふぱふも気持ち悪いのでしょうか。

ことりとの会話でよく出るので私は慣れていましたが…しかし希にも頼れないとなると希望がまた1つ消えましたね。希だけに。

海未「…何しょうもない事言ってるんでしょうか。ふふっ」

なぜだかくだらない事で笑みが溢れてしまいました。今とてつもない壁にぶち当たっているというのに私は…いえ、意外と余裕なのかもしれませんね。

もう1度冷静に考えてみましょう。

海未「私は穂乃果に誤爆してしまった。何が問題なのでしょう？穂乃果に嫌われる事？穂乃果に変態だとバレる事？いや変態ではないですが…ん？」

よくよく考えてみると何に恐れているのか自分でもわからなくなってきました。私はいつの間にか思考の迷路に迷い込んでいたようです。だけど今なら…わかりました。

海未「…突撃あるのみですね」

穂乃果に誤爆してしまったのならそのまま押し通すのみ！

そうですよ！私は穂乃果の布団で寝たいです！穂乃果の布団と一体化したいです！何が悪いんですか！？私は穂乃果の事が大好きなんですよ！

ﾋﾟﾛﾘﾝｯ

LINEの通知音。

それが戦場へと一歩踏み出す合図となりました。

穂乃果：海未ちゃーん？

海未：穂乃果、話があるのですが

穂乃果：うん

海未：あなたの布団で寝たいです

穂乃果：ん？

海未：穂乃果と1つになりたいです

穂乃果：え？

海未：あなたの事が

早くなる鼓動を無理やり押し込み、震える指先で押し間違えないようにゆっくりと打ち込みました。

海未：好きなんです

いいぞ

やっと想いを伝えられました…こんなに清々しい気分は久しぶりですね。LINEという少し変わった方法ではありますが過程はどうでもいいのです。結果が良ければいいのです。

想いを伝え、たとえ嫌われるような事があっても本望です！

穂乃果：私はそんな事言う海未ちゃんは嫌いだよ？

海未：すいません全部嘘です

嫌われても本望と思いましたがそんなわけありませんね。嫌われたらおしまいです。

穂乃果：で？何であんな変な事言ったの？

海未：正直に話しますと…ことりと一緒に穂乃果会議なるものをやっててつい誤爆したのです

穂乃果：なんて会議してんのさ…でも誤爆かぁ。私もたまにやっちゃうけどちゃんと謝らないとダメだよ？

海未：すいません

穂乃果：まぁ好きって言ってくれた事は嬉しいけど…こういうのは面と向かってじゃないと

海未：すいません

穂乃果：という事で明日ちゃんと告白してね。おやすみー

海未：すいませんでした

ことりちゃん巻き込まれてわろた

穂乃果に平謝りなんて初めてですね…やはりちゃんと謝っていればすぐ終わっていたのに私は勝手に勘違いしてことりを巻き込んで…ん？何やら最後の方おかしな事になってたような…もう1度見てみましょう。

『穂乃果：という事で明日ちゃんと告白してね。おやすみー』

海未「…え///」ｶｧｧｧ

理解した瞬間、顔が熱く真っ赤になるのが自分でもわかりました。ど、どどどどどういう事ですか！？いつの間にか告白する流れになっていますよ！？

と、とりあえずことりにも謝るついでにアドバイスを貰いましょう…

海未：ことり、相談に乗ってくれてありがとうございました

(・8・)：どうなったの？

海未：無事穂乃果に謝罪出来ました

(・8・)：何か言われた？

海未：明日ちゃんと告白してね、と言われました

(・8・)：え

海未：どうしましょう

(・8・)：明日告白するの？

海未：が、頑張ります

(・8・)：ことりもやりたい

海未：は？

ちゅんなぁ…

ふたりではんぶんこすればいいんじゃないかな

(・8・)：今から告白してみる

いやいやいや、ことりはまた何を言っているのでしょう。

まさか私に触発されて告白を？これは完全に焦って我を忘れてますね。喝を入れてやらねば…いえ、そういう私も少し舞い上がっているようです。

一旦スマホを閉じて深呼吸。そして、厳しくもあり少しユーモアも含んでいるナイスな文章を考えて再度LINEを開き打ち込みました。

海未：1度頭を冷やした方がいいですよ。穂乃果の冷たい視線など想像してみてはどうでしょうか？少し蔑まれている感があってかなりグッドですよ

穂乃果：グッドじゃないよ！誤爆何度目なの！？

海未「…穂乃果に誤爆してしまいました」

完

アホの娘な海未ちゃんが好きです。乙したー。

おもしろかった！乙！

乙

おつ
やっぱLINE絡みはいいね

海未ちゃんのころころ変わる感情が可愛い
面白かった、乙です