ようちかりこ仲良し委員会

曜「千歌ちゃんの方がでしょ！」

千歌「なんだって！？ こんのぉ……おバカ曜ちゃん！」

曜「ふんっ！ バカ千歌ちゃんが！」

ようちか「うぬぬぬぬ……」

梨子「ちょ、ちょっと2人とも……何喧嘩してるの！？」

梨子「一体、何があったの？ 私に理由を聞かせてよ……」

曜「……教えられないよ」

千歌「これは私たちのシコウの問題だからね……」

梨子「……シコウ？」

ようちか「だから、梨子ちゃんは放っておいて！」

梨子「……放っておけないよ」

千歌「梨子ちゃん……」

梨子「だから、その『シコウの問題』って言うのを、私にも教えて？ 2人が仲直りできるなら、少しでも力になりたいから……」

曜「……どうする？」

千歌「……梨子ちゃんがそう言うなら……」

ようちか「……聞いてくれる？｣ﾓｼﾞﾓｼﾞ

梨子「うん、聞いてあげるよ？」

ようちか「あのね……｣ﾓｼﾞﾓｼﾞ

曜「……ナースさん」

ようちか「……どっちの衣装、梨子ちゃんが似合うと思う？」

梨子「……ん？ ん……ん？」

千歌「私はね、OLさんの制服が似合うと思ってるの！ 梨子ちゃん知性的で大人っぽいからさ、『デキるOLさん』って感じがして良いと思うの！」

曜「いいや、ナースさんだね！ 梨子ちゃんは優しさに溢れてるから、白衣の天使……いや『白衣の女神』として患者さんをケアしてくれそうじゃん！」

千歌「ふんっ！ 梨子ちゃんはナースじゃなくたって、みんなに優しいから……ありきたりだよ！」

曜「千歌ちゃんこそ、OLさんなんて、フェチだよ、フェチ！ 好みがおじさんだよ！」

千歌「なにおー！｣ﾑｷｰｯ

曜「やるかー！？｣ﾑｷｰｯ

千歌「そんなこと、とは何さー！」

曜「私たちには大事なことなんだから！」

梨子「……くだらなさすぎるよ……」

ようちか「くだらない、ってひどい！」

梨子「えっ、……この場に衣装があるの！？」

ｶﾞｻｶﾞｻ ｺﾞｿｺﾞｿ

千歌「はい、OLさんの制服と……」

曜「ナースさんの制服」

梨子「まさか、『私が着たら』って妄想の話とかじゃなくて……」

ようちか「現実の話！」

梨子「……私がこの２つの制服を着たら、喧嘩やめてくれる？」

曜「絶対やめる！」

梨子「……『OLナース論争』、やめてくれる？」

千歌「終止符を打つのだ！」

梨子「……ちょっとだけ、だからね……｣ｶｵﾏｯｶ

ようちか「やったぜ！｣ｶﾞｯﾂﾎﾟ

ーーー結局、彼女的にはナースの方が良かったみたいです

終わり

ﾃｯﾃｹﾃｹﾃｹﾃｰ♪ ﾃｰﾃｰﾃｰﾃｰ♪

千歌「うぬぬ……｣ｸﾞﾇﾇ

曜「やったー！ ヨーソロー社長、目的地の横浜駅にとーちゃーく！」

梨子「曜ちゃん、横浜駅に1番近かったもんね」

千歌「うぬぬぬ……｣ｸﾞﾇﾇﾇ

曜「これで、貧乏神はまた……｣ﾆﾔﾆﾔ

梨子「ちかっち社長に憑いちゃうね……」

千歌「うぬぬぬぬ……｣ｸﾞﾇﾇﾇﾇ

曜「まっ、1番遠いところにいるから、仕方ないですな……｣ﾆﾔﾆﾔ

曜「そういう戦略でありまーす｣ﾆﾔﾆﾔ

千歌「うんちカード使って、行き止まりにさせるし！」

梨子「それは私にも被害あったんだけどね……」

千歌「このお……くそやろおー！」

曜「そんなこと言われたって、痛くも痒くもございませーん｣ﾆｼｼ

千歌「……梨子ちゃんも一緒に言おうよ、ほら、くそや……」

梨子「そんな言葉使いたくないよ……」

梨子「……曜ちゃん、千歌ちゃんがすっかり不機嫌になっちゃったよ……｣ﾎﾞｿﾎﾞｿ

曜「表情に出てるもんね、ブサイクな顔になってる｣ﾆﾔﾆﾔ

梨子「流石に可哀想……少し手加減してあげたら？｣ﾎﾞｿﾎﾞｿ

曜「手加減、っていっても……桃鉄で手加減なんて、妨害系のカード使わなかったりとか、わざと遠くのマスに進むぐらいしか、できないよ？｣ﾎﾞｿﾎﾞｿ

梨子「それでも、やってあげて？ このままじゃ、千歌ちゃん全然目的地に上がれないもの……｣ﾎﾞｿﾎﾞｿ

曜「だけど、断る！｣ｷﾘｯ

梨子「えぇ……どうして……」

曜「だって、私だって勝ちたいもん」

梨子「そんな、ほんの少しだけでも……」

千歌「……聞こえてるよ！ 梨子ちゃん！」

梨子「！！｣ﾋﾞｸｯ

曜「まーだ、ダジャレで返す余裕があるんだねー」ﾆｼｼ

千歌「まだだ……まだ終わらんのだ……」

梨子「でも、借金も随分溜まってるよ……？」

千歌「こんな借金、目的地に入っちゃえばチャーラー、ヘッチャラーだから！」

曜「まっ、次の目的地に入れれば、だけどね｣ﾆｼｼ

千歌「絶対入ってやっから！ 死んでも入ってやっから！」

梨子「命をかけるのは流石にどうかな……」

テレビ『あたらしい目的地は……ハワイでーす！』

梨子「ハワイかあ、遠いなあ」

曜「ちょっと、難儀しそうですなあ……」

千歌「……｣ﾑｽｯ

梨子(千歌ちゃん、ハワイってわかった瞬間、また渋い顔になった……)

曜(今いるところが東北だもんね、随分遠いもんね)

千歌「……こうなったら」ﾑｽｯ

ﾎﾟﾁｯ ﾎﾟﾁｯ

ぶっとびカード

千歌「ヤケクソだあああっ！」

曜「うわ、やけっぱちだ、ぶっとびカードでぶっ飛ぶつもりだ！」

ﾎﾟﾁｰｯ

ちかっち社長は、ぶっとびカードを使った！

千歌「ふははは、ヤケクソに水の精神なのだー！」

梨子「それを言うなら焼け石に水じゃ……」

曜「もうどうにもならないことを自覚してるんですな……」

千歌「ふははは、飛べーいちかっち社長！ 忌まわしき記憶と共にー！」

曜「あれ、でもこれ……」

梨子「意外と良い方向に飛んでる……」

ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ

テレビ『ちかっち社長！ 目的地に飛びましたぞ！ うれしいことでございますのー！！』

千歌「え……うそ！ ホールインワンしちゃったよ！」

千歌「やった！ やったよ梨子ちゃん！｣ﾊｲﾀｯﾁ

梨子「よ、よかったね、千歌ちゃん｣ｱﾊﾊ

千歌「これで借金ゼロだし、こっからだよ、曜ちゃん！｣ﾆｼｼ

曜「どこまで、このヨーソロー社長に肉薄できるかなあ？｣ﾆｼｼ

千歌「ヨーソロー社長のお肉に、かぶりついてみせるのだ！」

梨子(千歌ちゃんって、本当に喜怒哀楽がわかりやすいなあ……でも、それが千歌ちゃんの可愛いところなんだけど、ね)ﾌﾌﾌ

テレビ『あたらしい目的地は……札幌です！ そして次に貧乏神がつくのは、りこっち社長です！』

梨子「あっ、そっか……私が1番目的地から遠かったんだ……」

曜「とりあえず、指定うんちカードを使って、梨子ちゃんの身動きを取らせないようにしますか｣ﾆｼｼ

千歌「私もカード駅で、デビル派遣カード買って梨子ちゃんに使っちゃおー｣ﾆｼｼ

梨子「うぅ、人が心配したのに……こ、このく、くそやろおー……！」

終わり

曜「千歌ちゃんまだビール飲めないのー？」

千歌「だって苦いんだもん……」

梨子「慣れれば美味しいよ？」

曜「ほらほら」ｺﾞｸｺﾞｸ

千歌「そんなもの飲めるなんて2人は味覚音痴なんじゃないの？」

曜「千歌ちゃんがお子ちゃまなんだよー！」ｹﾗｹﾗ

千歌「なんだとーー！」

梨子「ほらほら暴れないの……」

梨子「曜ちゃんしーっ！周り見てるから！」

千歌「よーちゃんの全速前進一発芸が見たいなー！」

梨子「千歌ちゃんも振らないの！」

曜「渡辺曜！一発芸しまーす！」ﾇｷﾞﾇｷﾞ

梨子「わーーー！脱がないの！」

千歌「よっ、待ってましたー！」

曜「お尻で割り箸を折りまーす！」

千歌「いえーーい！」

梨子「やめなさい！！」

千歌「転校生の梨子ちゃんと仲良くなりたいよ！」

曜「そーだねー。でも、どうすればいいのかな？」

千歌「ふふふ。とっておきの策を考えてあるのだ」

曜「策？」

＊　＊　＊

（梨子ちゃんの家の前）

千歌「りーこーちゃん！」

曜「！？」

千歌「あーそーぼ！」

曜「小学生かよ！」

千歌「あ、窓が開いた！」

曜「怒られるんじゃないかな……」

梨子「……ちょっと恥ずかしいんですけど」

千歌「何する？　バドミントンする？」

曜「ちょっと千歌ちゃん、強引すぎるよ！」

梨子「……運動とか苦手だし」

千歌「大丈夫、手取り足取り教えてあげる！」

曜「ねえ千歌ちゃん、今日はこの辺にしとこうよ。梨子ちゃん困ってるよ」

千歌「大丈夫、私バドミントンめっちゃ弱いから！」

曜「教える側がそれでいいのかね」

千歌「わかった！　スポーツが苦手なら、チカがとっておきの手品を見せてあげる！」

梨子「手品？」

曜「千歌ちゃん、手品なんてできたっけ？」

千歌「まずここにあるのは、何の変哲もないアルミ缶」

梨子「アルミ缶……」

千歌「そして私のカバンの中から取り出しましたるは、美味しいミカン」

曜（まさか、いやそんなベタなことはしないだろう）

千歌「そしてこのミカンをアルミ缶の上に乗せます」

曜（おいやめろ）

千歌「アルミ缶の上にあるミカン」

梨子「……」

千歌「あ、ちなみに今のは、アルミ缶とその上にあるミカンをかけた……」

曜「みなまで言わなくても大丈夫だよー」

梨子「……ふふっ」

曜（あっ、笑った……）

梨子「ふふふ、全然面白くないわ」

千歌「じゃあ、どうして笑ってくれたの？」

梨子「嬉しいからだよ、友達ができて」

千歌「やった！　梨子ちゃんが仲間に加わった！」

曜「じゃあ、何して遊ぼうか！」

梨子「バドミントン、してみようかな」

千歌「手取り足取り教えてあげる！」

曜「足はとらなくていいんじゃないかなー」

ｷｬｯｷｬｯ

（数日後、曜ちゃんの家の前）

梨子「よーうーちゃん！」

千歌「よーうーちゃん！」

ｶﾞﾗｯ

曜「うるせー！」

梨子「あーそーぼ！」

千歌「あーそーぼ！」

曜「当たり前だコノヤロー！　遊び道具もっていくから静かに待ってろ！」

梨子「わーい！」

千歌「さすがは曜ちゃん！」

曜「ねーねー、今日は何して遊ぶ？」

梨子「バドミントン！」

千歌「ふふふ、今日は負けないぞ！」

ｷｬｯｷｬｯ

―――

おわり

ただただ愛おしい

2人のいたずらの被害に遭うのが梨子ちゃんだけど、時にはやりすぎてようちかが梨子ちゃんに謝ったり

そしてそんなようちかを宥めたり叱ったりするのが果南ちゃんであってほしい