ようちかりこ仲良し委員会 (2)

千歌「雨だねー」

曜「最近、雨ばっかりだよねー」

梨子「今日も外で遊べないね」

千歌「……そうだ！　ねえ梨子ちゃん、私、また梨子ちゃんのピアノが聴きたい！」

梨子「私の？」

曜「あ、私も私も！」

梨子「ふふふ、素人のピアノなんて、わざわざ聴くほどのものじゃないでしょ」

千歌「そんなことないもん！　梨子ちゃんのピアノは世界一だもん！」

梨子「ずいぶん小さな世界なんだね」

曜「今は小さくてもいいんだよ。これからみんなに聴いてもらえればいいんだからさ」

千歌「何で弾いてくれる側なのにお礼言うの？」

曜「ヘンな梨子ちゃん」

梨子「ふふふ、ヘンで悪かったわね。それじゃあ今日は何の曲を弾こうかな……」

千歌「あ、またアレ弾いて！　塩パンの曲！」

梨子「それを言うならショパンね」

曜「えーと、何だっけ、アレ、雨の日にぴったりの……『ゴマだれ』！」

梨子「それを言うなら『雨だれ』ね」

千歌「　　」ｳｯﾄﾘ

曜「　　」ｳｯﾄﾘ

梨子（ふふふ、普段の騒がしさがウソみたいに静かになった）

梨子（それにしても、誰かに曲を聴いてもらうのって、こんなに楽しいことだったんだ）

♪　♪　♪

梨子「……はい、おしまい」

千歌「ブラボー！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

曜「ヨーソロー！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

梨子「ご静聴、ありがとうございました」

曜「梨子ちゃん、愛してるー！」

梨子（ねえ二人とも、ありがとう。ピアノが嫌いになりそうだった私のこと、救ってくれて）

千歌「なんだと曜ちゃん！　私のほうが梨子ちゃんを愛してるのだ！」

曜「いやいや、私のほうが梨子ちゃんを愛しているのであります！」

千歌「やんのかコノヤロー！」

曜「のぞむところだコノヤロー！」

ｷﾞｬｰｷﾞｬｰ

梨子（そういえば、どうして私、ピアノが嫌いになりそうだったんだっけ）

ﾄﾞﾀﾝﾊﾞﾀﾝ

梨子（ふふふ、もう忘れちゃった）

―――

おわり

千歌「そういえば昨日ね、テレビ見てたら、腹筋がすごい女優さんが出ててね」

梨子「へぇ、そんなにすごかったの？」

千歌「そりゃもう！ お腹がアイスモナカみたいに割れててさ！」

梨子「アイスモナカみたい……ふふ、わかりやすい例え方だね。すぐ想像できちゃったよ」

千歌「その女優さんを見てたら、私もね……」

梨子「お腹を割りたくて、その場で腹筋を始めちゃった、とか？」

千歌「ううん、アイスモナカ食べたくなって、コンビニに買いに行っちゃった｣ﾌﾌﾌ

梨子「あはは、千歌ちゃんらしいね……」

曜「なんの話、してるのー？」

千歌「曜ちゃん。昨日、テレビですごい腹筋が割れた女優さんが出てねー……」

曜「ほうほう、腹筋……とな｣ﾋﾟｸｯ

梨子「あっ、なんだか曜ちゃんの様子が……」

曜「ふっふっふっ……2人とも、聞いてよ！ 最近ね、私もようやく、腹筋割れてきたんだよ！」

千歌「え、そうなの？ 見せて、見せてー！」

梨子「千歌ちゃん、流石にみんながいる前でそういうおねだりは……」

曜「ほれっ｣ﾍﾟﾗｯ

千歌「うわっ、すっげー！ うっすらシックスパックなのだー！｣ｳｯﾋｮｰ

梨子「曜ちゃんも軽々しくお腹を見せちゃダメだよぉ……｣ｶｵﾏｯｶ

千歌「わー、固ーい！」

曜「カッチカチやろ？ カッチカチやろ？」

千歌「……ゾクゾクするぅ」

ようちか「きゃははは｣ｹﾗｹﾗ

千歌「梨子ちゃんも、触ってみなよー」

梨子「……じゃあ、少しだけ……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ｻﾜｻﾜ ｻﾜｻﾜ

梨子「本当だ……弾力がほとんどない……鉄板を触ってるみたい……」

曜「梨子ちゃん……ちょっと触り方がいやらしい……｣ﾃﾚﾃﾚ

千歌「うわー、梨子ちゃんのエッチー｣ﾆﾔﾆﾔ

梨子「そ、そんな触り方してないよぉ！｣ｶｵﾏｯｶ

梨子「そんな危ないこと、できないよ。もし曜ちゃんに何かあったら……」

曜「千歌ちゃんと梨子ちゃんのパンチでノックアウトするほど、柔な腹筋じゃないよ｣ﾆﾔﾘ

千歌「よぉーし、そこまでいうなら……パンチしてやろーじゃん！」

曜「ははは、いいよー、パンチコーイ！」

千歌「『飛ばせ！ 鉄拳！ ロケットパーンチ佐藤！』」

梨子「……ロケットパンチ、佐藤？」

千歌「せいやー！」

ﾊﾟｽｯ

曜「……｣ｳｯ

曜「……全っ然、平気でありまー……っす！｣

千歌「すっごー！ 曜ちゃんの腹筋すっごー！」

梨子(今、小さく『ウッ』って聞こえたよ……)

梨子「……それじゃあ、行くよ？｣

曜「は、はは、パンチ、コーイ！」

千歌「『飛ばせ！ 鉄拳！』」

梨子「ろ、ろ……『ロケットパーンチ！』」

千歌「『佐藤！』」

梨子「えいっ！」

ﾊﾞｽｯ

曜「うっ」

曜「……」

ﾄﾞｻｯ

千歌「あっ、膝から崩れた」

梨子「よ、よおおちゃあああん！｣ｱﾜﾜﾜ

曜「う、う……」

千歌「あの曜ちゃんを倒すなんて……梨子ちゃん、恐ろしい子……｣ｺﾞｸﾘ

梨子「そんなんじゃないよぉ……！｣ｵﾛｵﾛ

曜「な、なんちゃって、ちょっとオーバーにヤられてみたのでありまーす……」ﾖﾛﾖﾛ

梨子「も、もう！ 驚かさないでよぉ！」

曜「あははは、ごめんねぇ……｣

ｷﾗﾘﾝ

千歌(あっ、目尻に光るものが……)

曜「あはは……｣ｸﾞｽﾝ

千歌(……曜ちゃんの名誉のために、黙ってあげるのだ……)

終わり