ようちかりこ仲良し委員会 (4)

梨子「注文するよ？すいませーん、牛丼並盛で」

曜「私は牛丼大盛りで！」

千歌「ふっふっふ……私は魔法の言葉を覚えてきたのだ」

曜「魔法の言葉？」

千歌「牛丼並盛つゆだくで！」

曜「何それカッコイイ！通っぽい！」

梨子（カッコイイ？）

店員「おまたせしましたー」

曜「はやっ！」

千歌「すごいすごーい！もう出てきた！」

梨子（牛丼でここまではしゃぐ高校生……）

梨子「……ふふっ」

千歌「どしたの梨子ちゃん？」

曜「なんか面白いことあった？」

梨子「うん、ちょっとね」

曜「というわけで行ってみましょう！」

千歌「梨子ちゃんは東京育ちだからこういうところ慣れてるよね？」

梨子「ううん、私はあんまり行ったことはないかな」

曜「え？そうなの？なんか意外だね」

千歌「と言ってる間にとうちゃーく」

梨子「メニューもいっぱいあるね」

曜「うーん…名前を見てもよくわからないものがたくさん…」

曜「あ、あれ面白そう」

「ご注文はお決まりでしょうか？」

曜「ダークモカチップフラペチーノください」

千歌「何それ！なんかかっこいい」

梨子「よくわからないもの頼んで大丈夫なの？」

曜「コーヒー系だろうし大丈夫でしょ」

「サイズはいかがなさいますか？」

曜「えーと…Mで」

「トールでよろしいでしょうか？」

曜「え？」

「当店でのサイズ表記は小さい方からショート、トール、グランデ、ベンティとなっています」

曜「あー、えっと、はい、トールで…///」

梨子「わかりにくいよね、こういうの。最初は間違えちゃうのわかるよ」

曜「別にフォローしてくれなくてもいいから…」

梨子「私はキャラメルマキアートのアイスをショートで」

千歌「さすが経験者スムーズだね」

千歌「実は私調べてきたんだよね。裏メニューというものを！」ﾒﾓ

曜「おお、通っぽい！」

梨子「メモ見てる時点でにわか感あるけど…」

千歌「えーと…ショートアイスチョコレートオランジュモカノンモカエクストラホイップエクストラソースをトールで」

「トールアイスチョコレートオランジュモカノンモカエクストラホイップエクストラソースでよろしいですか？」

千歌「えーと…？」

「ショートアイスチョコレートオランジュモカノンモカエクストラホイップエクストラソースは最初にショートとある通りショートサイズの注文になるので、
トールでしたらトールアイスチョコレートオランジュモカノンモカエクストラホイップエクストラソースになりますがよろしいでしょうか？」

千歌「あ、はい…」

曜「さすが店員さん…」

梨子「あんな難しい注文を一瞬で理解して訂正するなんて…」

沼津でスタバ調べてみたらSAにしかないらしい

沼津の駅前にに出来てたら、３人で行ったりするんだろうなぁ

梨子「誰に話してるのかわからないけど、早く歌詞ちょうだい！」

千歌「わかってるよー」

梨子「あれだけ次のイベントは新曲歌うんだーって言ってたのに、いつまでたっても出来てこないんじゃ作曲には入れないじゃない」

梨子「昨日も一昨日もそのセリフ聞きました」

千歌「ねぇねぇ梨子ちゃんマリカーしよ」

梨子「しません」

千歌「あれ？マリオテニスの方がよかった？」

梨子「しません！」

梨子「はしゃ！はしゃいでなんか…ないです」

千歌「でも『わー』とか『あー』とか言ってたよ」

梨子「言ってません！それより早く歌詞を…」ﾌﾜｧ

千歌「梨子ちゃんあくびしてる…」

梨子「ちょっ、恥ずかしいから見ないでよ」

梨子「お言葉に甘えてそうするわ」

千歌「千歌はもう少ししたら寝るね、おやすみー」

梨子「歌詞楽しににしてる」

千歌「プレッシャーなのだ…」

梨子（ふふっ、千歌ちゃん悩んでる…）

梨子（それにしてもベットの中千歌ちゃんの匂いだ…）

梨子（ちょっとドキドキして目が冴えてきちゃった…）

千歌「あー！なにも出てこないよーそろー」

梨子（おい、千歌ちゃん早くない？もう少しがんばろうよ…）

千歌「梨子ちゃん寝たのかな…」ｽﾞｲｯ

梨子（千歌ちゃんめっちゃ近い！顔近いって！）

千歌「梨子ちゃんの寝顔変なの」ﾌﾌｯ

梨子（あとﾌﾌｯって！私の寝顔そんなに面白い顔なの？）

梨子（なんなのよ、ますます寝れなくなってきたじゃない！）

梨子「ちょっと千歌ちゃん！私の寝顔変なの⁉︎」

千歌「……んんっ…」ｸｶｰ

梨子「寝てるし！もう、なんなのよー！」

ﾎﾟﾂﾎﾟﾂ ﾎﾟﾂﾎﾟﾂ

梨子「雨、降ってきちゃった……」

千歌「とうとう降ってきたねー。練習中降らなかったから、大丈夫かなって思ったけど……」

梨子「どうしよう、傘持ってきてないや……」

千歌「今日は降水確率３０パーセントの、１日中くもり空の予報だったもんね。私も油断したよ……」

ﾎﾟﾂﾎﾟﾂ ﾎﾟﾂﾎﾟﾂ

曜「やぁやぁ、お2人さん。何やら、お困りのようですな〜？｣

千歌「まあ、まだ小雨だし、走ってバス停まで行ければなんとか……」

梨子「少し、濡れちゃうけどそれは我慢だね……」

曜「曜ちゃんの話を聞けーい！｣ｸﾜｯ

千歌「雨音で曜ちゃんの声が聞こえなかったよ。許してちょんまげー」

曜「自分で『まだ小雨だし』とか言っておいて、よくもまあそんなことを言えましたな……」

千歌「あはははー。ほんと、許してチョーネンテン……」

曜「ったく、調子いいんだから。で、さっきの話に戻すけど。お2人さん、傘が無くてお困りのようですな」

ﾊﾞﾊﾞｰﾝ

曜「これを見よー！」

千歌「お、折りたたみ傘だ！」

梨子「曜ちゃん、そんなの持ってきてたんだ」

梨子「曜ちゃん、空気の具合で天気がわかっちゃうの？」

曜「ふふーん、体感で天気がわかっちゃう、曜ちゃんの特殊能力でありまーす」

千歌「でも降るとわかってるなら、なんで折りたたみ傘を持ってきたの？ 普通の傘の方が良いじゃん」

曜「そこは……私も……ちょっと、迷ってさ……『これで降らなかったから恥ずかしいなあ』って思って……保険で……｣ﾓｼﾞﾓｼﾞ

千歌「特殊能力の割には精度が微妙だねー。『良純』じゃん」

曜「なっ、人が気にしてることをヌケヌケと……！｣ﾑﾑｯ

千歌「いいもーん、走ってバス停まで行くからねー！｣ﾌﾟｲｯ

梨子「千歌ちゃん、曜ちゃんが親切で言ってくれてるんだから……意固地になっちゃダメよ？」

千歌「……ごめんなさい、私も入れてください、曜ちゃん」

曜「しょうがないなあ。……いいよ｣ﾌﾌｯ

千歌「ありがとう、曜ちゃん｣ﾆｯｺﾘ

ﾊﾞｻｯ

曜「ほら、傘広げたから、入って入って｣ﾁｮｲﾁｮｲ

千歌「お邪魔しまーす」

梨子「失礼しまーす」

ﾁｮｺｰﾝ

千歌「ねぇ……これ私と梨子ちゃん、だいぶはみ出てない？」

梨子「贅沢言えない立場なのはわかってるけど……流石にこれは……」

曜「所詮、折りたたみ傘だからねぇ……でも、なんとかしたいなあ……」

ﾎﾟｸﾎﾟｸﾁｰﾝ

曜「ピッカリ閃いた！」

曜「ちょっと、傘持ってて梨子ちゃん｣ﾋｮｲ

梨子「一体、何をするの？」

曜「こう……するの！」

ｸﾞｲｯ

ﾋﾟﾀｯ

曜「こうしてみんな肩をピッタリくっつければ、なんとか傘の下に入れるでしょ？ 」

梨子「確かにそうだけど……でも、少し恥ずかしい……｣ﾃﾚﾃﾚ

千歌「へへへ、３人ラブラブ相合傘だねー」

曜「ラブラブ、っていうくらいなら『愛愛傘』って言った方がいいんじゃない？｣ｸｽｸｽ

千歌「あっ、確かにねー」ｹﾗｹﾗ

梨子「ら、ラブラブなんて茶化さないでよぉ……！｣ｶｵﾏｯｶ

曜「えっ、ラブラブ嫌なの……？」

千歌「そうなの、梨子ちゃん……？」

梨子「い……い、嫌じゃないです……｣ｶｵﾏｯｶｯｶ

曜「それでは、歩幅を合わせて、帰りましょー！」

ーーーいつもより、少しだけゆっくり坂の下のバス停までの道を歩いた３人なのでした

終わり

千歌「ねえねえ、すっぱいガムのやつ、覚えてる？」

梨子「すっぱいガム？」

千歌「ほら、袋に３つ入っててさ……」

曜「あー、３個のうち、１個だけすっぱいガムが入ってるアレね」

千歌「そう！ ロシアンルーレットみたいに楽しめるアレ！」

梨子「思い出した、しょうがっこう

梨子「思い出した、小学校の遠足の時に、買ってたお友だちがいたなあ……」

曜「あれ、私すっぱいのに１度も当たったこと無いんだよねー」ﾌﾌｰﾝ

梨子「私も、お友だちからもらったことあるけど、すっぱいのは食べたことないよ｣ﾌﾌｯ

千歌「ほほー、強運だねー」

曜「で、そのすっぱいガムがどうかした？」

千歌「昨日コンビニにノート買いに行った時に、そのガムが見かけてね、懐かしくて買ったんだよ。だからさ、今から運試しゲームで、そのガム食べない？」

曜「おっ、いいねー。望むところだよー」

梨子「受けて立ちます！……ってね」

千歌「恨みっこ無しだからねー」

ｶﾞｻｶﾞｻ

千歌「ジャーン！」

曜「『すっぱ』……」

梨子「『レモン』……」

ようりこ「『エクストリーム』……？」

千歌「なんかね、大人向けにすっぱさを倍増させたガムらしいよ」

梨子「子供向けの駄菓子なのに、大人向けなの……？」

曜「まあ、大人向けのポテチもある世の中だからねえ。味が渋い系のやつ」

梨子「これ、どれくらい、すっぱいのかな？」

千歌「えっと、私も気になって、ネットで食べた感想を調べたところね……」

千歌「『すっぱ過ぎる』」

千歌「『レモン丸かじりの方がマシ』」

千歌「『買ってすっぱい(失敗)しました』」

千歌「ザッと、こんな感じ。……とんでもなくすっぱいみたいだね」

梨子「ええ……嫌だなあ、絶対当たりたくないよ……」

曜「日頃の素行の良さが試されますな……」

ﾋﾞﾘﾋﾞﾘ

千歌「さあ、梨子ちゃん。どうぞ選んで？」

梨子「私が最初？ えっと……それじゃ……」

ﾁﾗｯ

梨子「……右の、ガムを……」

千歌「えー、それ選んじゃうのー？ なんか怪しいよー」

梨子「み、見た目でわかるものじゃないでしょ！？」

千歌「私のニュータイプ的なアレが叫ぶんだけどなあ……」

ﾁﾗｯ

梨子「……じゃあ、真ん中のを……」

曜「ふーん……まあ、梨子ちゃんの意思がそうさせるんなら止めないけど……」

梨子「曜ちゃんまで！」

曜「私のシックスセンス的なアレが叫ぶんでありますなあ……」

梨子「もうっ、2人とも惑わさないでよお……！」

ﾁﾗｯ

梨子「左、左にしますからね！」

ようちか「あっ(察し)、ふーん……」

梨子「結局ふりだしじゃない……！」

千歌「じゃあ、『せーの！』の掛け声で、みんな同時に食べようね」

曜「了解！｣ｹｲﾚｲｯ

梨子「あぁ、なんだかドキドキするなあ……」

千歌「よーし、いくよ……」

ようりこ「……｣ｺﾞｸﾘ

千歌「『せー』……」

ようりこ「……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

千歌「……ラー服のリボンが曲がってるよ、梨子ちゃん」

梨子「！？｣ｽﾞｯｺｹ

梨子「なんで今指摘するの……！？」

千歌「ごめんごめん、なんか気になっちゃって」

梨子「ややこしいよ、ねえ、曜ちゃん…」

曜「……｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ

梨子「……曜ちゃんが間違えてフライングしちゃったじゃない！」

曜「うん、美味しいレモン味のガムでありまーす｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ

梨子「しかも結果まで言っちゃった！」

千歌「これで２分の１……私と梨子ちゃんのどっちかだね……｣ｺﾞｸﾘ

千歌「梨子ちゃん、『せー』ので、同時に食べようね」

梨子「わかった、『せーの』、だね」

千歌「うん、それじゃいくよ」

梨子「……｣ﾄﾞｷﾄﾞｷ

千歌「『せー』……！」

千歌「……！」ﾊﾟｸｰｯ

梨子「えっ、『の』は！？ 『の』が抜けてるよ千歌ちゃん！」

千歌「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

梨子「『せーの』で同時に、って言ったのに！ ずるいよ……！」

千歌「……私は『せー』ので同時に、って言ったのだ……｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ

梨子「区切り方がややこしいよぉ！」

千歌「あとこのガム、すっぱくなかった｣ﾓｸﾞﾓｸﾞ

梨子「しかも、またサラっと結果を言われた……！」

曜「ってことはつまり……」

ようちか「梨子ちゃんのガムがエクストリームすっぱいやつだー！」

梨子「……えええ……」

梨子「そうだけど……すっぱいとわかってるガムなんて……正直食べたくないよお……」

曜「つべこべ言わずに早く食べてよ、梨子ちゃん」

千歌「梨子ちゃんのすっぱさに悶絶する顔、早く見たいなあ｣ﾌｰｾﾝﾌﾟｸｰｯ

ようちか「……｣ﾜｸﾜｸ

梨子「はぁ……覚悟を決めました、今から食べるよ……」

梨子(噛まずに飲み込めば、すっぱくはないよね……)

梨子「い、いただきまーす……」

ｱｰﾝ

ﾊﾟｸｰｯ

梨子(噛まずに、噛まずに、飲み込……)

ｶﾐｯ

梨子(あっ、ガム噛んじゃった……)

梨子「……！？ ……！！？」

曜「おおっ、梨子ちゃんの顔が……！」

千歌「すっぱさで眉間に皺がすごい寄ってる！」

曜「口もすぼんで、ひょっとこみたい！」

千歌「そんでもって顔真っ赤っか！」

梨子「ひゅっぱいよ、ひゃしゅけて……！｣ｽｯﾊﾟｰ

ようちか「シャッターチャーンス！｣ﾊﾟｼｬｯ

梨子「ひゃ、ひゃめてー！」

終わり

千歌「第１回！ いちごオレ争奪！ グリコ大かーい！｣ﾊﾟﾌﾊﾟﾌ

梨子「グリコ、ってあの……」

曜「ジャンケンをして、グーで勝ったら『グリコ』で３歩、チョキで勝ったら『チョコレート』で６歩、パーで勝ったら『パイナップル』で６歩、階段を登るあの……？」

千歌「その通り！ 丁寧な説明ありがとうね、曜ちゃん」

千歌「ゴールの２階に１番で到達した子が、いちごオレを奢ってもらえるの！」

梨子「話の流れ的に……最下位の子が奢るんだよね」

千歌「もちろん！ そうじゃないと、ゲーム性がないでしょー｣ﾆｼｼ

曜「それは、是が非でも勝ちに行かないとね｣ﾆｼｼ

千歌「私もいちごオレタダで飲みたいからね｣ﾌﾌﾌ

梨子(私もいちごオレ好きだし、なんとか勝ちたいなあ……)

梨子(……どうやったら勝てるかな……？)

曜「おや、梨子ちゃん何やら思案顔ですな」

千歌「そんな難しい顔しても、勝負は時の運だからねー、まっ、勝つのは私だけど」

曜「いやいや、私が勝つのでありまーす！」

梨子(……絶対勝ってみせる！)

ようちかりこ「さーいしょは、グー！」

ようちかりこ「ジャーンケーン……」

ようちかりこ「ポンっ！」

千歌 ﾁｮｷ 曜 ﾊﾟｰ 梨子 ｸﾞｰ

ようちかりこ「……あーいこで、しょ！」

千歌 ﾁｮｷ 曜 ｸﾞｰ 梨子 ﾁｮｷ

曜「よしっ、勝った！｣ｶﾞｯﾂﾎﾟ

グ！ リ！ コ！

曜「ふふーん、スタートダッシュ成功でありまーす」

千歌「まだまだ追いつける距離だから！」

ようちかりこ「さーいしょは、グー！」

ようちかりこ「ジャーンケーン……」

ようちかりこ「ポンっ！」

千歌 ﾁｮｷ 曜 ﾁｮｷ 梨子 ﾊﾟｰ

梨子「私だけ、負けちゃった……」

千歌「私と曜ちゃんの一騎打ち！」

ようちか「さーいしょは、グー！」

ようちか「ジャーンケーン……」

ようちか「ポンっ！」

千歌 ﾊﾟｰ 曜 ｸﾞｰ

千歌「うっしゃー！｣ｶﾞｯﾂﾎﾟ

パ！ イ！ ナ！ ッ！ プ！ ル！

千歌「おーおー、 人を見下す、って快感だね｣ﾆﾔﾆﾔ

曜「大して見下ろしてもないよ！」

ようちかりこ「さーいしょは、グー！」

ようちかりこ「ジャーンケーン……」

ようちかりこ「ポンっ！」

千歌 ﾊﾟｰ 曜 ﾁｮｷ 梨子 ﾁｮｷ

千歌「あーん、今度は私だけ負けたー！」

梨子「よし、これで私も階段を登るチャンスが……！」

曜「梨子ちゃん、勝負っ！」

ようりこ「さーいしょは、グー！」

ようりこ「ジャーンケーン……」

ようりこ「ポンっ！」

曜 ﾁｮｷ 梨子 ﾊﾟｰ

曜「やたっ！ 千歌ちゃん追い抜ける！｣ｶﾞｯﾂﾎﾟ

梨子「うぅ、負け続けで私全然登れないよ……」

チ！ ヨ！ コ！ レ！ イ！ ト！

曜「曜ちゃん、これでまた３歩リードでありまーす」

千歌「そんな短いリード、すぐ詰めてやるからね！」

ーーートップの千歌と曜が、ゴールまであと３段のところまで来た一方

ーーー梨子は、２人から４段、ゴールまであと７段の位置にいました

梨子(このままじゃ、２人のどっちかが先にゴールしちゃいそう……)

梨子(仮にチョキかパーで勝てても、次も勝たないと追い抜かれちゃう……)

梨子(……そういえば、千歌ちゃん、『アレ』やっちゃダメとは言ってなかったわね……)

梨子(……そうだ。ふふっ、たまには私も、悪いことしちゃうんだから……)

曜「絶対に勝つ！」

ようちか「勝って梨子ちゃんに奢ってもらうんだ！」

梨子「ま、まだ勝負は決まってないよ！」

千歌「それではジャンケン！」

ようちかりこ「さーいしょは、グー！」

ようちかりこ「ジャーンケーン……」

ようちかりこ「ポンっ！」

千歌 ﾁｮｷ 曜 ﾁｮｷ 梨子 ｸﾞｰ

千歌「グーで勝ちに来ただと……」

曜「てっきり、チョキかパーで来るかなと思った……」

千歌「まあ、グーなら３段しか進めないし……」

曜「次勝てばいいっか」

梨子「ふふふっ……」

グーッ！

千歌「あっ、梨子ちゃん階段を……！」

リーッ！

曜「２段飛ばしで！」

コーッ！

ようちか「と、飛んだっ！」

梨子「……はいゴール、私が１番っ♪」

曜「梨子ちゃんズルい！｣ﾌﾞｰﾌﾞｰ

千歌「不正だ！ 無効だよそんなの！｣ﾌﾞｰﾌﾞｰ

梨子「あら、だって最初に千歌ちゃん、『２段飛ばしはダメ』って言ってなかったじゃない」

千歌「うっ、そりゃ、確かに言ってなかったけど……」

梨子「じゃあ、ルール違反にならないよね？」

千歌「そう言われたら、そうだけど……！」

曜「大人気無い！ 梨子ちゃん大人気無いよ！」

梨子「大人気無い？ だって私、まだ子供だもの。大人気無くて、当然でしょ？」

曜「大人っぽいふいんき撒き散らしてよく言うよ！」

梨子「ふふっ、千歌ちゃんと曜ちゃん、どっちが私にいちごオレを奢ってくれるのかな？｣

ーーーちょっと悪い顔をした梨子なのでした

終わり

梨子「じゃあ、行くよ……」

グーッ！

千歌「あっ、梨子ちゃん階段を……！」

リーッ！

曜「２段飛ばしで！」

コーッ！

ようちか「飛んだ拍子にスカートが！」

梨子「えっ、み、見えてたの！？｣

千歌「……見えてない見えてない｣

曜「……何にも見えなかったよ」

梨子「……ほっ、それなら」

ようちか「……青色なんだね、今日は｣ﾆﾔﾆﾔ

梨子「やっぱり見えてたんじゃない……！｣ｶｵﾏｯｶ

終わり

曜「うーん……」

千歌「どうしたのー、曜ちゃん」

曜「なんか、急に口寂しくなって……」

千歌「へぇ……。それじゃあ曜ちゃんに、いいものを差し上げましょー！」

ｶﾞｻｶﾞｻ

千歌「はい！ みんな大好き、みかん飴あげる！｣ｽｯ

曜「くれるのは嬉しいけど、ポーチから飴玉出すなんて、まるで大阪のおばちゃんみたい……」

千歌「……『よー↑ちゃん、あんたにみかんの飴ちゃんやるでー』」

曜「わざわざモノマネしてやり直さなくてもいいよ……」

千歌「そりゃ、みかんの飴だもん！ 美味しくないわけないよ！｣ﾓｺﾞﾓｺﾞ

曜「あぁ、口の中に、みかんの風味が広がってゆく……｣ﾓｺﾞﾓｺﾞ

千歌「お口の中がプチみかん天国なのだ｣ﾓｺﾞﾓｺﾞ

ｶﾞﾘｯ ｶﾞﾘｶﾞﾘｯ

千歌「あ、今飴噛んだね、曜ちゃん｣ﾓｺﾞﾓｺﾞ

曜「なかなか最後まで舐めきれないんだよねぇ、飴玉って｣ｶﾞﾘｯ

千歌「飴玉を途中で噛む人って、せっかちな人が多いんだって。『ほんまでっか』で言ってたよ｣ﾓｺﾞﾓｺﾞ

曜「へー、割と当たってるかも｣ｶﾞﾘｯ

千歌「どーいたしまして｣ﾌﾌﾌ

曜「ところでさ」

千歌「なあに、曜ちゃん？」

曜「梨子ちゃんが口寂しくなったらさ、どんなお菓子を欲しがるかな？」

千歌「梨子ちゃん元トーキョーシティーガールだからねぇ。オシャレなお菓子なんじゃない？」

曜「例えば、生キャラメルとか？」

千歌「そーそー、あとは一口サイズのチョコとか」

曜「あー、指で摘んで口に入れる姿が、簡単に想像できるね」

千歌「少なからず、こんな大阪のおばちゃんみたいに、『ポーチから飴玉』なんかじゃないと思うなあ」

曜「まあ、そうだろうね」

ようちか「あははは……」

千歌「なんでやねん！ 誰がおばちゃんや、誰が！」

曜「やめてよ、１人でボケて１人でツッコむの。全く面白くもないのに」

ﾄﾞｱｶﾞﾗﾗｯ

曜「おっ、噂をすれば」

ｽﾀｽﾀ ｽﾀｽﾀ

千歌「梨子ちゃん、１つ質問いーい？」

梨子「質問？ いきなり、なんの質問？」

千歌「梨子ちゃんが口が寂しくなった時に、食べたくなるお菓子ってなあに？」

梨子「口寂しいときに、食べるお菓子？ うーん……」

曜「生キャラメルでしょ？」

千歌「一口サイズの、オシャレなチョコでしょ？」

梨子「どっちも好きだけど、残念。違いますっ｣ﾌﾌｯ

ようちか「え、違うの、元トーキョーシティーガールなのに？」

梨子「……東京育ちに夢見すぎだよ……」

ようちか「……｣ﾜｸﾜｸ

梨子「……『茎わかめ』なんだ｣ﾌﾌﾌ

ようちか「……えっ」

曜「茎わかめ、って、歯ごたえがコリコリしてる……」

千歌「一口サイズの長方形の、あれ？」

梨子「そう、まさにそれ。あの食感が私好きで、ついつい100円ショップに立ち寄ったらたくさん買っちゃったりするの……｣ｳﾌﾌ

ようちか「100均で、茎わかめを……」

梨子「あっ、今日も持ってきてるんだけど……」

ｶﾞｻｶﾞｻ

梨子「茎わかめ、食べる？ 千歌ちゃん、曜ちゃん｣ｽｯ

千歌「ポーチから茎わかめの小分けのやつ、出してきたよ……大阪のおばちゃん再来だよ……」

曜「……梨子ちゃんの口から『茎わかめ』と『100円ショップ』って単語、聞きたくなかったなあ……」

千歌「イメージがね、ちょっとね……」

梨子「……何よ、茎わかめ美味しいのに！ そんなこと言うなら、あげないからね！｣ﾌﾟｲｯ

ようちか「えー、ちょーだいよー」

梨子「嫌です、絶対あげませんっ！｣ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

終わり